いぶし瓦(日本瓦)|株式会社 岡本工業所|屋根・瓦の修理、工事のことならかわら職人の私たちにお任せください。【岡山県総社市】

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いぶし瓦

いぶし瓦ってなあに?

日本建築の屋根に多く見られるいぶし瓦。渋い銀色の光沢と清楚な美しさは、日本の風土に根ざした深い味わいと伝統の確かさを感じさせます。洋風指向が高まる昨今でも依然として根強い人気を保ち、その独特の色調から、「銀色瓦」、「黒瓦」などとも呼ばれていますが、正式名称はどういうのでしょう。
JISの英訳でsmoked tilesと書かれたいぶし瓦は、焼成の最終工程で"コミ"とか"いぶし"と呼ばれる薫化(くんか)を行い、銀色の炭素膜を形成させます。いぶし銀のような色と"サエ"と呼ばれる独特のツヤが変色、退色することなく長い間保ち続ける製品が望ましいとされていますが、近年、かえって色ムラを好む風潮も生まれ、考えさせられます。

いぶし瓦はいつ頃から作られたの?

いぶし瓦の製法が伝えられたのは安土桃山時代、明(中国)の一かん(いっかん)という人物によるものという説が有力です。一は織田信長の命により、安土城の粘土瓦を製作していますが、この時に粘土瓦を燻して作る製造法を伝えたようです。
しかしいぶし瓦が普及するのはずっとあと。本葺形(ほんぶきがた)しかなかった当時は瓦自体が一般民家には普及していなかったのです。江戸時代に入って延宝2年(1674年)、近江大津の西村半兵衛が本葺形の丸瓦と平瓦を一体化した桟瓦の前身を開発して初めて、本格的な普及に至る契機が生まれたと言えるでしょう。

いぶし瓦はどうやって作るの?

粘土瓦はいぶし瓦であれ、釉薬瓦(陶器瓦)であれ、昔から現在に至るまで「練り土成形焼成品」です。つまりいくつかの原料粘土を配合、混練、成形、乾燥し、焼成するプロセスは同じなわけです。ただ、いぶし瓦は焼成の最終工程に組み込まれた燻化(くんか)工程がほかの粘土瓦との違いです。ここで加熱した粘土素地に炭化水素を含むガスを接触させて、炭素を主成分とする炭素膜を素地表面に形成し、そのあと炭素膜の燃焼がないように、普通は窯を密閉して冷却する方法がとられます。
銀色の炭素膜は、古くは松材や松葉を一度に投入して空気を遮断、乾溜(かんりゅう)ガスによって形成されていましたが、近年ではブタン、プロパンなどLPGの生ガスや、水で希釈した灯油などの工業製品が使われます。
かっていぶし瓦は平窯の一種であるだるま窯で生産されていましたが、昭和46年頃から単独窯やシャットル窯に急転換しました。現在の製造システムとしては、半自動成形・間歇(かんけつ)式焼成炉(単独窯、シャットル窯など)による焼成・燻化と、全自動成形・台車トンネル式連続焼成炉による焼成・燻化に大別されるでしょう。
前述はメーカー数では圧倒的に多く、多品種少量生産向き、後者は月産10万枚単位の単品大量生産形態と言えます。トンネル窯は燻化工程の技術的解決を経て昭和50年に初めて登場しています。

いぶし瓦はどんな種類があるの?

いぶし瓦の種類いぶし瓦に限らず、粘土瓦には本葺形、J形(和形)、S 形、F形(洋形・平形)などがありますが、いぶし瓦で多いのは本葺形、J形です。社寺建築に代表される本葺形で最も多く使われるのは、古くは女瓦(めがわら)と称された平瓦と、男瓦(おがわら)と称された丸瓦です。最近では平瓦と丸瓦を一体成形した簡略形もあります。ほかに棟や袖の部分には多種の形状の瓦を使います。
J形で中心となるのは屋根地(やねじ)の大部分を覆う桟瓦です。今では裏面の棟方向(尻)のところに引掛用の突起のついた引掛桟瓦が普通ですが、その中にも面取桟瓦、切落桟瓦、深切桟瓦などがあります。面取は軒方向の前面(頭)に丸面がとってあり、葺き上がりが優美で最も多く使われています。切落は反対に面が取ってなく、キリッと締まった感じになります。深切は防水性をよりアップ、瓦の重なりが多い点が特徴。
J形にも桟瓦以外に軒や棟などに様々な役瓦(やくがわら)と称する形状の瓦が使われます。これは桟瓦の大きさが基準になっています。JISのJ形桟瓦には坪49枚から60枚の大きさが規定されていますが、80枚判や100枚判もあり、品質とともに生産地の特徴でしょう。
また、特にいぶし瓦では屋根の形状、大きさ、地方によりいろいろな鬼瓦があることも知っておきたいものです。

屋根Selection'97日本屋根経済新聞社刊より抜粋